大阪地方裁判所 昭和50年(わ)3610号 判決 1976年2月26日
一、本店所在地
東大阪市衣擢六丁目四番三七号
商号
日東化工サービス株式会社
代表者氏名
中川裕
二、本籍
大阪市福島区吉野町一丁目二〇番地
住居
右同所
職業
会社役員
氏名
中川裕
年令
昭和七年一一月一二日生
右両名に対する法人税法違反被告事件につき当裁判所は検察官藤村輝子出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告人日東化工サービス株式会社を罰金一六、〇〇〇、〇〇〇円に、
被告人中川裕を懲役一〇月に
各処する。
被告人中川裕に対し、この裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告法人日東化工サービス株式会社は、東大阪市衣擢六丁目四番三七号に本店を置き塗料加工販売業を営むもの、被告人中川裕は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人中川裕は同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、
第一 被告法人日東化工サービス株式会社の昭和四六年一〇月一日から同四七年九月三〇日までの事業年度において、その所得金額が三〇、四九六、八六七円で、これに対する法人税額が一〇、八九〇、五〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上架空仕入を計上し、売上の一部を除外するなどし、これによつて得た資金を架空名義の定期預金にするなどの行為により、右所得金額中二七、四九一、四六三円を秘匿したうえ、同四七年一一月二九日東大阪市永和二丁目三番二三号所在東大阪税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が三、〇〇五、四〇四円で、これに対する法人税額が八〇〇、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税一〇、〇九〇、三〇〇円を免れ、
第二 被告法人日東化工サービス株式会社の同四七年一〇月一日から同四八年九月三〇日までの事業年度において、その所得金額が八六、五五七、九一七円で、これに対する法人税額が三一、二九〇、九〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得金額中七九、八七三、八六一円を秘匿したうえ、同四八年一一月二七日前記東大阪税務署において同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が六、六八四、〇五六円で、これに対する法人税額が一、九四九、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税二九、三四一、五〇〇円を免れ、
第三 被告法人日東化工サービス株式会社の同四八年一〇月一日から同四九年九月三〇日までの事業年度において、その所得金額が六七、三二六、五五〇円で、これに対する法人税額が二五、三九七、三〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得金額中五八、六八七、三〇七円を秘匿したうえ、同四九年一一月二八日前記東大阪税務署において同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が八、六三九、二四三円で、これに対する法人税額が一、九四四、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税二三、四五三、一〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
一、被告法人代表者兼被告人中川裕の当公判廷における供述(判示全事実につき)
一、第一回公判調書に引用の別紙検察官請求証拠目録(一)請求番号1ないし86、同検察官請求証拠目録(二)請求番号1ないし20のとおりであるから、ここにこれを引用する。
(法令の適用)
被告人らお判示各所為は、いずれも法人税法一五九条、七四条一項二号(法人の処罰につき、なお同法一六四条一項)に各該当するところ、被告法人については、以上の罪は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により所定罰金額を合算した金額の範囲内で被告法人を罰金一六、〇〇〇、〇〇〇円に処し、被告人中川裕については所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上の罪は同法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした所定刑期の範囲内で、同被告人を懲役一〇月に処し、同被告人に対しては諸般の情状に鑑み、同法二五条一項一号を適用して、この裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予することとする。
よつて主文のとおり判決する。
昭和五一年三月一日
(裁判官 橋本達彦)